クラウドサービスと市場動向調査

クラウド関連

クラウドとは

クラウドとはネットワーク/サーバー/ストレージ/アプリなどのサービスをインターネットを介して必要な時に、必要な分だけ利用できるサービスです。

また、本格的なクラウドサービスが誕生したのは、2002年からサービスを開始たAmazon Web Services (AWS) で大規模なエンタープライズシステムや基幹業務システムの数多くの実績を有しています。Gartner社によるクラウド調査(2015)では、AWSを「リーダークアドラント」をして位置づけ、評価しています。

クラウドは昨今よく耳にするワードですが、クラウドとは具体的に何を指示しているのでしょうか?改めて、言葉で説明しようとすると難しいワードではないでしょうか?

その理由として、クラウドを定義付けようとすると、クラウドには様々な形態があることから、簡潔な定義をすることが困難であるからのようです。

工業技術などに関する規格の標準化を支援しているアメリカ合衆国の政府機関であるNIST(米国国立標準技術研究所)によって公表された資料によると、クラウドには以下の5つの特長を有することが示されています。

出典 総務省 ICTスキル総合習得プログラム 講座2-2

誰でも利用でき、ユーザーのニーズに合わせて素早く、スケールできることはなんとなくクラウドを使ったことのある方なら想像できるかと思いますが、私がに盲点だったことは [5] の「サービスが計測可能であること」でした。

確かにAWSであれば、「Cloud Watch」が、Azureであれば「Azure Monitor」が、GCPであれば「Cloud Monitoring」が装備されており、サービスモニタリングの役割を果たしていそうです。

クラウドの分類

NISTではさらに、クラウドを分類する観点として、サービスモデル(Service model)実装モデル(Deployment model)の2つのモデルが示されています。

以下、2つのモデルの詳細について紹介したいと思います。

サービスモデル

サービスモデルとはクラウドサービスの構築・カスタマイズに関する役割分担による分類です。

3種の役割分類

サービスモデルはクラウドサービスの構築・カスタマイズに関する役割の分担によって、下記の3種類に分類されます。

IaaS (イアース) : Infrastructure as a Service ⇒ サービスとして提供されるインフラストラクチャー

PaaS (パース) : Platform as a Service ⇒ サービスとして提供されるプラットフォーム

SaaS (サーズ) : Software as a Service ⇒ サーズとして提供さるソフトウェア

出典 総務省 ICTスキル総合習得プログラム 講座2-2

この分類では、図にあるようにサービスを提供する上で必要となる階層(アプリケーション、OS、仮想サーバ)の構成はそのままに、それを構成、管理する役割をユーザーが担っているのか、または、AWSなどのクラウド事業者が担うかによって分類されています。

また、提供される階層の違いから、必然的にクラウドサービスの利用者も異なってきます。

IaaSでは仮想サーバのみが提供された状態であり、その上の階層のプラットフォームはICTサービス運営者が構築することになります。

PaasではOSまでが提供されており、ソフトウェアエンジニア等が、アプリケーションの開発などを速やかに実行したい場合などに利用される形態です。

SaaSはインターネットにアクセスするのみで、アプリケーションとして完成したサービスを利用することができるためエンドユーザーの利用が多くなります。

出典 総務省 ICTスキル総合習得プログラム 講座2-2
IaaS/PaaS型のクラウドサービス

世界的に有力なクラウドサービスとして3大クラウドプラットフォームとも呼ばれる、AWS、GCP、Azureがあります。AWSはAmazon、GCPはGoogle、AzureはMicrosoft社が提供するIaaS/PaaS型のクラウドサービスです。

これらのサービスでは、簡単な操作で仮想サーバを構築できることに加え、利用時間単位での課金や利用リソースに応じた課金など、ユーザーの利用ニーズに合わせた柔軟なプランが提供されています。

AWSでは現時点で100以上のサービスが提供されており、頻繁にサービスのアップデートが行われています。

https://aws.amazon.com/jp/
PaaSの事例

その他、PaaSの利用メリットとして、SaaSは利用ユーザーに対して課金される仕組みが多く、ユーザー数が多くなるとそれだけ利用料金が高くなりますが、PaaSを利用することで、SaaSよりも利用料金を安く抑えることが出来ます。

サービス例としてセールスフォースの「Heroku」やサイボウズの「kintone」が挙げられます。

SaaSの事例

SaaS利用のメリットとしては、ITに詳しくない人材でも簡単に利用できることや、資料などのデータを複数人で共有ができるなどのメリットがあります。

サービス例としてスチュワート・バターフィールドによって開発された「Slack」やChatwork株式会社が提供する「Chatwork」が挙げられます。

また、身近なところでは「LINE」もSaaSに分類されるサービスです。

実装モデル

次に実装モデルについて説明します。

実装モデルとは、クラウドサービスの利用機会の開かれ方による分類方法です。

以下の4つの分類があります。

プライベートクラウド … 同一組織に属する者のみ利用機会が開かれたクラウド

※プライベートクラウドは、そのサーバ自体を自組織の敷地内に設置する場合もあれば、敷地外に設置する可能性もある

※クラウドであるためには、技術的に利用可能であること、スケーラビリティ(拡張性)があることも条件となる

コミュニティクラウド … 特定のコミュニティに属する組織・個人にのみ利用可能なクラウド

※例として、銀行間の情報共有や

パブリッククラウド … 利用機会が一般公開されており、利用規約を承諾し登録すればだれでも利用可能 AWS、GCP など

ハイブリッドクラウド … 複数のクラウドの実装モデルを適材適所で組わせる形態

※マルチクラウドは複数のパブリッククラウドを用いること

特に近年アメリカでは、クラウド移行の流れから、オンプレミスへ戻ってくる流れがあり、結果的に間をとったオンプレミスやプライベートクラウドの長所とパブリッククラウドの長所をいいとこどりしたハイブリットクラウドが人気を集めています。

ここでは、ハイブリットクラウドについて紹介したいと思います。

ハイブリットクラウドを利用することで、機密性の高い情報はプライベートクラウドで利用し、さほど重要ではない情報はパブリッククラウドを利用するといった使い分けが可能になります。また、プライベートクラウドでは使用量に応じて課金される従量課金制であり、使い続けると想定以上に高コストになる可能性があります。そのプライベートクラウドでは拡張性も高く、工夫次第では低コストにおさえることも可能です。

しかし、ハイブリットクラウドでは様々なサービス、システムを利用するため、システムの構成やコスト計算が複雑になるなどのデメリットも存在します。

クラウドサービスの利用状況(企業)

日本のクラウド市場は今後も拡大が見込まれる

MM総研の調べ(「国内クラウドサービス需要動向調査」(2020年5月時点))によると2019年度のクラウドサービスの市場規模は2兆3572億円でした。

2018年度にはパブリッククラウドはプライベートクラウドの市場規模はおよそ1/4倍でしたが、年々その差はなくなり、2024年度にはおよそ1:1の比率になることが予想されています。プライベートクラウドよりもパブリッククラウドの成長率が高くなっていることが分かります。

また、国内のクラウド市場は右肩上がりであり、2024年にはその市場規模はおよそ5兆円に達する見込みです。

出典 MM総研 国内クラウド市場は2024年に5兆円超え

参考までに、日本のIT業界の市場規模は2019年で15.6兆円となっています (業界動向 SEARCH.COM 調べ)。

2019年度時点で、クラウド市場はIT市場のおよそ1/7の規模であり、今後、その比率は益々高くなるのではないでしょうか。

また、MM総研の調べをもとに2030年度のクラウド市場予測を作成しました。

仮にこれまでの成長率で市場が成長した場合、2030年度にはおよそ8.7兆円規模になることが推測されます。

日本企業におけるクラウドコンピューティング導入割合

総務省のˋ「令和元年通信利用動向調査の結果」(公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の5930企業[有効回収数:2122企業])によると、企業におけるクラウドコンピューティングの導入割合は初めて6割を超えています。また、資産・保守体制等のアウトソーシング化などがメリットとして認識されており、「効果があった」または「ある程度効果があった」とする企業は、導入企業全体の85.5%以上を上回っています。

アンケート調査結果から、クラウドサービスを導入した多くの企業で、クラウドサービスの導入による業務改善の効果があったことがうかがえます。

また、サービスの利用内訳としては、ファイルの保管・データ共有が最も多く、次いで、電子メール、社内情報共有・ポータルへと続きます。ファイルの保管・データ共有の利用は平成30年より、令和元年の方が高く、電子メールでは令和元年より平成30年の方が割合が高くなっています。

クラウドサービスを利用する理由としてもっと見られた理由は、資産、保守体制を内部に持つ必要がないからがもっと多く、次いで場所、機器を選ぶ必要がないためが多くなっています。安全運用、可用性が高くなるからという理由は3番目にもっとも多くみられる理由ですが、平成30年と比較すると令和元年より2倍以上の数値になっています。

一昔前はクラウドはセキュリティーなどの安全性が危惧されていましたが、近年ではBCPといった観点からもクラウドの高可用性が注目されていることが分かります。

出典 総務省 令和元年通信利用動向調査の結果
出典 総務省 令和元年通信利用動向調査の結果
出典 総務省 令和元年通信利用動向調査の結果
クラウドサービス利用上の課題

日本標準産業分類に準拠した26業種、資本金3000万円以上および総従業員者数50人以上の民間業者9056事業者に対して行われた経済産業省の「平成 29 年情報処理実態調査結果概要」によると、クラウドサービス導入・利用上の課題として「トータルコストが高い」ことに挙げた企業の割合が36.2%と最も高く、次いで「重要データを社外に出せない」が29.1%となっていることがわかります。

しかしながら、前年度と比較すると全項目で数値は減少しており、課題が改善されつつあることが示されています。

出典 経済産業省 平成 29 年情報処理実態調査結果概要

まとめ

クラウドは、私たちの生活や企業活動にとって、なくてはならない存在になりつつあります。

クラウドサービスは多種多様に渡り、企業でのクラウドサービスの選定には、どのようなメリット、デメリットがあるのかを正しく見積もった上で、パブリッククラウドやハイブリットクラウドなどの適切なクラウド形態を選択する必要があることが分かりました。

また、市場動向調査からデジタルトランスフォーメーションなどの国政も相まって、クラウドに対するニーズが年々高まっていることが伺えます。

しかしながら、コスト面や安全性の面ではまだまだ不安を抱えている利用者も少なくないことも分かりました。

参考資料

(1) 総務省 ICTスキル総合習得プログラム 講座2-2 ( https://www.soumu.go.jp/ict_skill/pptx/ict_skill_2_2.pptx ) 一部抜粋

(2) 令和元年通信利用動向調査の結果 ( https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/200529_1.pdf )

(3) 経済産業省 平成 29 年情報処理実態調査結果概要

(4) カゴヤのサーバー研究室 ( https://www.kagoya.jp/howto/rentalserver/hybridcloud/ )

(5) 業界動向 SEARCH.COM ( https://gyokai-search.com/ )

(6) MM総研 国内クラウド市場は2024年に5兆円超え https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=434

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